創価大学法科大学院2期生未修者コースを出たにっし~が、司法試験の受験、三振を経て、更に法律系資格取得に明け暮れる日々に感じたことを、つれづれに綴ってます。
あくまでも、にっし~の主観に基づいて書かれておりますので、実像とは異なる場合がございます。あらかじめ、ご了承くださいm(__)m
※本ブログでは、創価学会そのものに関する話題は扱いません。該当するコメント等は、見つけ次第問答無用で削除しますので、あらかじめご了承下さいm(__)m
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以前、「刑法の復習」で取り上げた話題です。
僕が用いている刑法各論の基本書には、「刑法の解釈は、単に立法者の意思に盲目的に追随するのではなく、また単に分離解釈に終始するのではなく、規定の趣旨・目的をその時代と社会の文化的状態に関係させて、法秩序全体の価値体系の中に位置づけた目的論的合理的解釈でなければならない。」とあります。
これを念頭におきながら、考えてみることにします。
いわゆる、クレジットカードの会員が支払い意思も能力もなく、自己名義のクレジットカードを使用して商品を購入する行為は、1項詐欺罪に該当するというのが、裁判例とされています。
東京高判昭59・11・19では、
とありますが、前回も述べたように、加盟店に会員の支払う意思や能力に感心を持つ信義則上の義務があると云えるのか、仮に義務があるとしても、具体的にどうやってそれを調べるのか、という疑問があります。
当時は、前回も述べた承認システムがないと思われるし、名古屋高判昭59・7・3では、加盟店が支払う意思や能力がないと判っていたら販売しなかったという証言をしているので、被欺罔者を加盟店としたのでしょう。
では、その後判例ではクレジットカードのシステムについてどのように述べているでしょうか。
東京高判平3・12・26では、
この裁判例では、加盟店に会員の支払う意思・能力を調査・確認までは求められてないということが述べられています。
大阪高判平14・8・22では、
この裁判例では、加盟店に義務づけられているのは、カードの呈示者とカードの名義が同一であるかの確認であるとしています。
さらに、この事案の第一審である京都地判平13・9・21では、
ということで、平成に入ってからのものは、他人名義のカードを不正使用したという事案なので、加盟店が商品を交付するかどうかは、カードの名義が自己のものか他人のものかという点が中心にはなってます。
しかし、加盟店の関心が、カード呈示者の支払能力等ではなく、カードの有効性と名義の同一性にあることには違いありません。
以上の裁判例を通じて云えるのは、加盟店がカード呈示者に対して商品を交付できるのは、呈示されたカードが有効(承認システム等で確認)なもので、呈示者とカードの名義が同一であることが確認された場合です。
この確認がなされてない場合は、加盟店は商品を交付できません。
つまり、自己名義のクレジットカードの場合は、加盟店の関心はカードが有効であるかどうかということになります。
真正に発行されたカードであれば、カード会社の承認が下りれば有効なカードとなるので、加盟店は商品を交付します。
となると、自己名義のカードであれば、加盟店は会員の支払う意思・能力を問わないので、それについて誤信する余地がありません。
よって、加盟店を被欺罔者とする説はとれないということになります。
あとは、前回述べたのと同様になると思います。
詐欺罪否定したかったのですが、判例を漁っていると、支払う意思も能力もないのにカードを作成して、そのカードで買い物をしているという事案があったので、否定は難しいと考えました。
気が変わって支払った場合は、そもそも事件にならないでしょうし。
僕が用いている刑法各論の基本書には、「刑法の解釈は、単に立法者の意思に盲目的に追随するのではなく、また単に分離解釈に終始するのではなく、規定の趣旨・目的をその時代と社会の文化的状態に関係させて、法秩序全体の価値体系の中に位置づけた目的論的合理的解釈でなければならない。」とあります。
これを念頭におきながら、考えてみることにします。
いわゆる、クレジットカードの会員が支払い意思も能力もなく、自己名義のクレジットカードを使用して商品を購入する行為は、1項詐欺罪に該当するというのが、裁判例とされています。
東京高判昭59・11・19では、
会員に、後日クレジット会社に代金及び利息(あるいは手数料)を支払う意思も能力もないことが明らかな場合には、販売店は右会員に対し物品の販売を拒否することにより、クレジット会社に不良債権が発生しないようにすべき信義則上の義務をクレジット会社に対して負つていることは、右システム自体からしておのずから明らかであり、したがつて、販売店において、会員が後日クレジット会社に代金及び利息(あるいは手数料)を支払う意思も能力もないことを知りながら会員に物品を販売した場合には、クレジット会社は右販売店に対し信義則違反を理由として、右代金の立替払いを拒むことができるといわなければならない。
とありますが、前回も述べたように、加盟店に会員の支払う意思や能力に感心を持つ信義則上の義務があると云えるのか、仮に義務があるとしても、具体的にどうやってそれを調べるのか、という疑問があります。
当時は、前回も述べた承認システムがないと思われるし、名古屋高判昭59・7・3では、加盟店が支払う意思や能力がないと判っていたら販売しなかったという証言をしているので、被欺罔者を加盟店としたのでしょう。
では、その後判例ではクレジットカードのシステムについてどのように述べているでしょうか。
東京高判平3・12・26では、
クレジットカードによる取り引きにおいては、加盟店において特にカード利用者の支払いの意思や能力について調査、確認することまではしていないのが一般であるけれども、それはその者が、カード会社による所要の審査手続を経てカード会員となった以上、支払いの意思、能力を有することが当然の前提とされているうえ、加盟店が、店頭でその都度カード利用者の支払いの意思、能力を調査、確認をすることは不可能もしくは著しく困難であるから、通常、加盟店規約上も加盟店に対して右の点について調査、確認することまでは要求されていないというに過ぎず、制度上加盟店は代金が決済されなくても規約違反等がなければカード会社から支払いを受けられる仕組になっているとはいえ、カード会員に対する信用供与を基本に成り立っているクレジットカードシステムの趣旨から考えても、右制度を支える当事者の一員である加盟店においては、カード利用者が加盟店規約に対し代金を決済する意思及び能力のあることを当然の前提として取り引きに応じているというべきであり、
この裁判例では、加盟店に会員の支払う意思・能力を調査・確認までは求められてないということが述べられています。
大阪高判平14・8・22では、
クレジットカード取引は,クレジット会社,会員,加盟店の三者間で行われる信用取引で,このシステムを利用しようとする者は,入会申込書に氏名,職業,勤務先,収入等所定の事項を記入してクレジット会社に提出すると,クレジット会社により,記載された人物の実在性及び申込者との同一性について調査されるとともにカードの利用による代金支払能力の有無について審査され,これに通ればクレジット会社との間で会員契約を締結して自己名義のクレジットカードの貸与を受けられ,クレジット会社との間で加盟店契約を締結した加盟店においてこのクレジットカードを呈示して商品の購入やサービの提供を申し込むと,加盟店によりクレジットカードの有効性が確認されれば,その場で代金を支払うことなく商品の交付やサービスの提供を受けることができ,後日クレジット会社が加盟店の請求により立替払いした代金をクレジット会社に支払うという仕組みになっている。これによれば,クレジットカードのシステムは,クレジットカードの名義人である会員個人に対する信用を基礎に,クレジット会社が本人に限り無担保で一定限度内の信用を供与する制度であると考えられ,だからこそ,クレジット会社は,加盟店に対し,加盟店契約で売上票の署名とクレジットカードの裏面になされた署名と同一であるかどうか確認するなどしてクレジットカードを呈示した者がクレジットカードの名義人であるかどうかを確認するよう求めているのである。他方,加盟店は,この確認ができれば,クレジットカードを呈示した者がクレジット会社の信用調査を受けて会員契約をした会員であり,商品を販売したりサービスを提供したりしてもクレジットカードシステムによりクレジット会社から代金の立替払いを受けられるものと信頼でき,それだからこそ,クレジットカードを呈示した者の支払意思や支払能力を特に調査することなく同人との取引に応じているということができる。
この裁判例では、加盟店に義務づけられているのは、カードの呈示者とカードの名義が同一であるかの確認であるとしています。
さらに、この事案の第一審である京都地判平13・9・21では、
クレジットカードは,信販会社との間でクレジット契約を結び,自己名義のクレジットカードの交付を受けた者が,当該信販会社の加盟店で商品を購入するに際し,同クレジットカードを提示して商品を受け取り,代金については,信販会社が加盟店に立替払いをした後,当該クレジットカードの名義人が信販会社に返済するという仕組みになっているところ,これは,一定限度額内での商品の購入につき,信販会社が,名義人に無担保で信用を与えるものであり,クレジット契約の際には信用調査がなされる一方,商品購入の際には,提示した者の署名及び信販会社の承認が要求されていることなどにかんがみると,加盟店は,名義人本人がクレジットカードを提示しているとの前提のもとに商品を交付するのであり,クレジットカードを提示した者が名義人以外の者であることが判明すれば,商品を交付しないのが通常であるから,クレジットカードの名義人であるように偽って,クレジットカードを提示し,商品を購入することは,それ自体,原則として詐欺罪に該当すると解すべきである。
もっとも,別人のクレジットカードを提示して商品を購入しても,当該クレジットカードの名義人によって当該取引にかかる代金債務が弁済されることが明らかである場合は,クレジット取引の構造からみて,加盟店が商品を交付しても,特段の問題は生じないから,このような場合にまで,他人名義のクレジットカードを提示した者に詐欺罪が成立すると解するのは相当でない。すなわち,クレジットカードの名義人が,当該提示者によるクレジットカードの使用を承諾した上,この取引から生じる代金債務を負担することも了解しており,かつ,名義人と当該提示者との間に,このような承諾・了解が客観的にも強く推認される関係がある場合(例えば,同居の親族間等)は,詐欺罪が成立しないと解すべきである。
ということで、平成に入ってからのものは、他人名義のカードを不正使用したという事案なので、加盟店が商品を交付するかどうかは、カードの名義が自己のものか他人のものかという点が中心にはなってます。
しかし、加盟店の関心が、カード呈示者の支払能力等ではなく、カードの有効性と名義の同一性にあることには違いありません。
以上の裁判例を通じて云えるのは、加盟店がカード呈示者に対して商品を交付できるのは、呈示されたカードが有効(承認システム等で確認)なもので、呈示者とカードの名義が同一であることが確認された場合です。
この確認がなされてない場合は、加盟店は商品を交付できません。
つまり、自己名義のクレジットカードの場合は、加盟店の関心はカードが有効であるかどうかということになります。
真正に発行されたカードであれば、カード会社の承認が下りれば有効なカードとなるので、加盟店は商品を交付します。
となると、自己名義のカードであれば、加盟店は会員の支払う意思・能力を問わないので、それについて誤信する余地がありません。
よって、加盟店を被欺罔者とする説はとれないということになります。
あとは、前回述べたのと同様になると思います。
詐欺罪否定したかったのですが、判例を漁っていると、支払う意思も能力もないのにカードを作成して、そのカードで買い物をしているという事案があったので、否定は難しいと考えました。
気が変わって支払った場合は、そもそも事件にならないでしょうし。
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プロフィール
HN:
にっし〜
年齢:
50
HP:
性別:
男性
誕生日:
1974/08/05
職業:
受験生
自己紹介:
創価大学法科大学院2期生未習者(3年)コース修了。
俗称:西田晋一
30代にして、まったくのド素人状態から、3年で司法試験に挑戦しようとしている法律家の玉子であったが、三振したので、有精卵であったとしても、殻を破れなかった模様。
静岡大学農学部出身で、パソコン専門店の販売員という経歴を持つ。
ちなみに、関西創価高校18期生。
兵庫県神戸市出身。
俗称:西田晋一
30代にして、まったくのド素人状態から、3年で司法試験に挑戦しようとしている法律家の玉子であったが、三振したので、有精卵であったとしても、殻を破れなかった模様。
静岡大学農学部出身で、パソコン専門店の販売員という経歴を持つ。
ちなみに、関西創価高校18期生。
兵庫県神戸市出身。
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